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隣国体験記 後編

前回は主に日本と韓国の価値観の違いに関して書きました。今回は韓国の人達が日本をどう捉えているのかということについて書いていこうと思います。

 

前回は自分が韓国でホームステイした体験を主に書いた。その出来事と共に、別の幾つかの体験も踏まえていく。

まず、韓国人青年のホームステイ受け入れしたこと。私の母は国際交流に熱心で、今までにイタリアやイギリス、中国にシンガポールなど、様々な国からのホームステイを受け入れており、その一環として韓国人ボーイスカウトのホームステイも受け入れた。2人の韓国人青年が来たのだが、A君は同世代の日本人以上の語彙を持つほどの日本語上手、B君は英語圏からの帰国子女であり英語がペラペラだった。なんとA君はエヴァンゲリオンなどの日本アニメを観て日本語を学んだという。そのこともあり、日本の現代文化に興味津々で、コンビニなどでも日本人の若者がどんな物を飲み食いするのかを聞いて実際に購入していた(確かカルピスとポテチを勧めた)。BくんもA君ほどではなかったが日本の文化に興味があった。前回記事のホストファミリーの少年も初音ミクなどの日本のポップカルチャーにハマっているとのことで、日本の現代文化への関心を感じた。

 

反日」と言われるほど彼らは日本に嫌悪感を持っているようには見えなかったが、時折気になったことはある。前述のA君とB君に、韓国では日本のどこが韓国人に人気なのかと聞いたら、いくつかの観光地の中に「耳塚」が入っていた。耳塚とは、豊臣秀吉朝鮮出兵した際、現地の人々の耳を切り取り埋めさせた塚である。韓国人は先人達の供養の為に行くらしい。2人はそこまで興味はないと言っていたがガイドブックには必ず載っているらしい。

また、これまたボーイスカウトの派遣で、アメリカで開かれた世界スカウトジャンボリーというボーイスカウトの世界規模の祭典に参加した時のこと。ジャンボリーではボーイスカウトのバッチやネッカーチーフなどのアイテムを物々交換するのが恒例となっている。私達も色んな国の人達と交換を通じて交流したが、ある時私の仲間が少しガッカリした表情でテントに帰ってきた。彼曰く、韓国スカウトの持っていたアイテムがとてもかっこよくて交換をもちかけた所、「日本人とは交換するなと言われている」と断られたという。勿論、彼の語学力不足による聞き間違いの可能性もあるし、交換の際のトラブルは国に関わらずよくあることだ。

 

だが、この2つの体験から彼らの日本への嫌悪感というのは大人達から受け継いでいるものなのかもしれないと思うようになった。実際彼ら若者は過去に興味はなく、逆に日本に対して好意的だった。そこに大人達による教育と、溢れている情報、そして何より前期倭寇や秀吉の朝鮮出兵慰安婦問題等の戦時の韓国統治などの歴史的事実から日本へのヘイトが培われていくのではないか。もちろん、これは限られた経験が基になった不確実な解釈でしかない。

 

それでもそのことは日本でも同じだ。中学時代の友人に韓国人が嫌いという者が何人もいたが、理由を尋ねると特に理由のない偏見や大人の言い聞かせだったり、国内の観光地でのごく限られた体験が基だったりした。そこにメディアによる仮想敵国としての虚像や、冷えきった両国関係という政治的事実が重なって韓国人への理由なき嫌悪を確かなものにする。

 

両国間の蟠りはそう簡単には消せるものでは無い。それが歴史的に長い時間をかけて作られたものであるから尚更である。だが両国がお互いの文化への関心と尊敬を持っているのは確かであり、関係の良化は絶望的という訳でもない。まずは彼らの持つ嫌悪の根源たる歴史的事実を我々日本人が受け止める必要がある。そして我々のもつ偏見を見つめ直し、その非論理性に気づいた上で、我々から歩み寄ることがその第一歩だと信じている。